金融探偵 2016 3 27

 金融関係の話は、だいたい堅苦しい話が多いので、
一般の人にとっては、難解で退屈な話になってしまうかもしれません。
 そこで、金融システムに推理小説を持ち込んだら、どうなるか。
一般の人でも最後まで楽しく読めるのではないかと思いました。

書名 不作為で勝ち残る日本経済
著者 増田 悦佐  徳間書店

金融市場の「点と線」
 この3年ぐらいの期間だったと思いますが、
金融市場では、「誰が金(Gold)を売りたたいている」という噂を聞いたことがあります。
それも、アメリカ時間の深夜、市場参加者が少なくなった時に、
金先物市場で、誰かが売りたたいていると言うのです。
 海外市場の金価格は、この数年、右肩下がりに下落していました。
それも、下値から反発したところを、
金先物市場で、誰かが売りたたくというのです。
 これについては、アメリカが売りたたいでいるのではないかという噂が一般的でした。
なぜかというと、ドルと金は、反対の動きをするからです。
 ドルが強くなれば、金は下落するというように、
ある意味で、金は、ドルの「通信簿(学業成績)」のようなものです。
 さて、金融市場では、大事件が相次ぎ、
みんな、すっかり忘れてしまったかと思いますが、
2015年に奇妙な事件が起こりました。
 2011年以来、スイスフランをユーロと連動させ、
最高値でも1ユーロに対して1.2スイスフランという上限枠を守ってきた、
スイス国立銀行が、2015年1月15日に「突然」、
この上限枠の撤廃を宣言しました。
 これは、金融市場にとって、青天の霹靂(へきれき)、
全く予想外のことだったので、大混乱に陥りました。
 その後、金融市場が落ち着いてくると、
なぜ、スイス国立銀行が、このような荒業を突然実施したのかが噂になりました。
 もっともらしい「解説」がいろいろと出ましたが、
このような荒業をしなければならなかった理由としては、いまいちでした。
 そこで、著者(金融探偵)は、推理を働かせます。
ひょっとして、金を売りたたいていたのは、スイス国立銀行だったのではないのか。
 ここで多くの人は疑問を主張するでしょう。
そもそも、金価格が本格的に反騰してくると、
金先物市場で、金を売りたたいていると、大損をするのではないか。
 確かに、その通りです。
しかし、スイス国立銀行には、切り札があったのです。
それが、ユーロに対してスイスフランを固定していたユーロ・ペッグです。
 そのほかにも、状況証拠がたくさんあります。
あなたも探偵になって、この本を読みながら推理を楽しむことができます。








































































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